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伊藤 久義; 河裾 厚男; 大島 武; 吉川 正人; 梨山 勇; 岡田 漱平; 谷川 庄一郎*; 奥村 元*; 吉田 貞史*
電子技術総合研究所彙報, 62(10-11), p.23 - 29, 1999/00
立方晶シリコンカーバイド(3C-SiC)における点欠陥評価のため、化学気相成長(CVD)で作製した3C-SiC単結晶に1MeV電子線を照射し、陽電子消滅線のドップラー広がり測定及び陽電子寿命測定を行った。さらにESR測定も実施し、陽電子消滅測定結果との相関を調べた。この結果、電子線照射により3C-SiC中に負に帯電したSi単一空孔Vが形成され、このVが主要な陽電子捕獲中心として働くことが判明した。また、3C-SiCバルクでの陽電子拡散長として184nm、陽電子寿命として140psが得られた。さらに、Vの捕獲陽電子の寿命は188ps、比捕獲速度は6.010sであると決定できた。これらの数値は、陽電子消滅による欠陥評価を行う上で不可欠なパラメータであり、今後のSiCにおける欠陥研究に有用である。
町田 昌彦*; 蕪木 英雄
Physical Review Letters, 75(17), p.3178 - 3181, 1995/10
被引用回数:27 パーセンタイル:75.92(Physics, Multidisciplinary)3次元層状超伝導体における磁束渦系の構造とダイナミクスを明らかにするため、時間依存のギンツブルク・ランダウ方程式とマックスウェル方程式を連立させて数値シミュレーションを行った。低温での硬く直線的な磁束から高温での階段状磁束への変化が観察される。コラム状欠陥や点欠陥に対するピニングダイナミクスをシミュレーションされ、高温では磁束の層に平行なセグメントの柔軟な変形が観察され、低温でのピニングに比べ強化されることが分かった。また、温度と共に磁束変形に対する柔軟性が上がり2次元的ピニングダイナミクスが出現してくることが分かった。
中村 彰夫
Journal of Nuclear Materials, 201, p.17 - 26, 1993/00
被引用回数:18 パーセンタイル:83.16(Materials Science, Multidisciplinary)定比組成から正負のずれを示すアクチノイド及び関連フルオライト酸化物MOの熱力学的挙動の全体像を明らかにするために、先に提案した酸素過剰型UOの熱力学モデルを拡張することにより、酸素不足型のPuO(及びAmO,CeO)の熱力学モデルの構築を行った。その結果、これらの系に特徴的な酸素の部分モルエンタルピーh(O)の強いx依存性が、xの正負によらず、長距離クーロン力の変化によって生じると考えられる組成xに依存する欠陥生成エンタルピー項とより局所的な複合欠陥の生成からの寄与を含む項の両者を考慮に入れることにより、定量的に説明できることが示された。また、酸素過剰型UOと酸素不足型(Pu,Ce,Am)Oの欠陥構造の類似性と相違点についても、本結果により定量的議論を行った。
横川 敏雄*; 前川 尚*
PNC TJ168 85-06, 27 Pages, 1985/03
酸化物ガラスにX線、電子線を照射するとガラス構造を反映していくつかの着色中心が形成される。本報告はこの着色中心の構造、生成過程に関しての基礎をなすものである。本報告ではまずガラス固化体の母体となるほうけい酸ガラスを対象に約10/SUP6Radの照射で生ずる点欠陥の光吸収スペクトルを測定し、ガラス構造ならびにガラス試料温度との関係を考察した。さらに2元系ほう酸ガラスに形成される着色中心ならびに少量ドープした塩化物イオンの存在で生ずるV 中心の生成過程についてパルスラジオリシスの手法で追跡した。測定結果は以下の点に要約できる。(1)可視部に吸収をもつ欠陥はガラス中の非架橋酸素ならびにそれと結合したNaイオンに関係するがNa/SUB2/O-B/SUB2/O/SUB3-SiO/SUB2系ガラスでは従来の熱力学的な解釈とも一致し、Na/SUB2/O/B/SUB2/O/SUB3濃度比が1以上の時にのみけい酸塩ガラス固有のSi-O/SUP-Na/SUP+構造単位から生ずる吸収が現れ、同濃度比が1以下の組成では、SiO/SUB2はもっぱらNa/SUB2/O-B/SUB2/O/SUB3 2元系を希釈する作用をしていることが認められた。(2)欠陥は照射後1 sで、すでに形成されるが試料の温度上昇とともにその濃度は減少した。300400度Cで大部分が消失した。(3)塩化物イオンを含むガラスでも照射後1 sでは母ガラスの欠陥の他にCl/SUB2/SUP-中心を形成した。なお、Cl/SUB2/SUP-中心の熱的安定度は母ガラスによる欠陥よりも大きい事が認められた。(4)ほうけい酸ガラスでは、照射による点欠陥生成よりもむしろ構造的な内在する不混和領域についての変化を検討すべきことが示唆された。